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MORI channel|水戸芸術館現代美術センター学芸員・森司によるブログ。学芸員の日常や最新のアートニュースを伝えます。
2006.12. 9

幸せな時間。

昨日に続いて、ボランティア・トーカーの研修を終えた方々の午前と午後の面接に同席する。
その間のお昼を終えた13時から14時30分までの90分は、芸術・文化に携わる者、そして芸術・文化を愛好する人々にとって幸福な時間があった。

1937年に制定され、その第1回文化勲章受章者である横山大観が学んだ小学校跡地に建つ水戸芸術館会議場において、水戸室内オーストラ定期公演のために来水している小澤征爾氏、1996年文化勲章受章者の森英恵当財団理事長ほか、綺羅星ごとく多数の来賓が列席する中開催された、「吉田秀和水戸芸術館館長の文化勲章受章をお祝いする会」で館長のとてもすてきなスピーチを聞けたことだ。

雨降る肌寒い水戸ではあったが、出席されたお客さは心温かな気持ちでお帰りになられたことと思う。館長の受章はもとより、今日のような会が持てたことを館員として誇りに思い、喜しく思う。僕自身も晴れがましい気持ちのおすそ分けをいただき、とても幸せな気持ちになった。

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大げさな意味でなく、多くの支援者が集い開催されたこのひと時が、いかに貴重で尊いか、改めて思わせてくれたのが、今日の日本経済新聞の文化欄の「指定管理者制度」に関する記事であった。その記事内容は、存在する問題、そこにある現実の輪郭をかなりきっちり伝えているものだと思う。
美術館は社会において単体で存在しているものではない。美術館へのダメージは、広く深くアート界、そしてアートそのものの質の問題へ広がっていくものだと思う。記事には「『学芸』の質 維持 手探り」と太い見出しが入っている。失った質は、質の維持にかかるコスト以上の負担をしなければ回復しない。システムの分断が、見えないコスト負担を増大させる結果につながる危惧を持つ。
広島市現代美術館の公募に敗れた吉本興業の担当者のコメントは注目に値する。それは経済の市場原理に合っていないシステムであることを伝えるものだ。事実そのような状況下で獲得した財団の職員として副館長をつとめる小松崎氏のコメントが今ある実情を伝えている。誰も幸せにしない。
教育問題における学校と同じで、教育現場のダメージは、学校だけの問題にとどまりはしない。美術館の問題も変わらない。急速に魅力を欠く国になっていっているような気がしてならない。気がついてみたら貧しさだけが残ったようなことにはならないようにしないと、と思う。

Posted by 森司 at 21:58 | 雑記帳
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